物語を見たい
久々にTRPGのコラムめいたことを書く。
田舎に帰る前に、一つ、どうしても書きたいことがあった。
ローズトゥロード リプレイ ソングシーカー (Role&Roll Books)
- 作者: 小林正親,門倉直人,相沢美良
- 出版社/メーカー: 新紀元社
- 発売日: 2006/03/10
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 10回
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今回の文章はローズ トゥ ロード リプレイ『ソングシーカー〜失われた歌を求めて〜』のネタバレが含まれます故、未読の方はご注意ください。
なお、これを手に入れた経緯はかなり謎でして。
狭霧、突如読みたくなる
↓
静岡にRPGしにいったついでに探すも、見つからず
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仕方ないので7&Yで注文。
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その翌日、寮の近くの本屋で見つける。
いや、GPO〜緑の章〜*1にかまけていて本屋に行っていなかった自分は確かにいたよ!
でも、まさかあるなんて……。
そんなわけで、二冊持っていたりとかはしません。
ゲヘナAnは二冊買いましたが。
さて。
そんなわけで。
まず最初に、リプレイのオチをぶっちゃける。
つまり、GMが用意したエンドロールは
PCが何を行おうと無駄。さて、どう足掻く?
みたいなノリの話だ。
GMの用意した“正しい”回答は無し。
今の主流である正しいゲームとしては、最悪な展開だと思う。
GMはPLに対し絶望しか用意していない。正しい回答? 何それ? まぁ、好きにして良いよ。何しても無駄だけどね。
そんな投げやりのシナリオの、投げやりの結末*2。
コンベンションでやれば総スカンを食らうようなやり方で、ちゃんと結末まで描かれたシナリオを使用することが当然な状勢では、最悪のマスターと言われても仕方のないやり口だと思う。
でも、個人的な好みを言ってしまえば。
もう、そりゃ、大好きな展開である。
TRPGの魅力は、皆で考えを共有するところにある、と言われたことがある。
GMの考えたシナリオをなぞり、GMの手のひらで踊って、その上でお約束の台詞を述べて、そして「あー。今日の俺、格好良かったなぁ」
それはそれで悪いとは言わないけど、それが魅力だと言うのならば、僕は否と言う。
そんなのを楽しみたければ小説を読めばいい。映画を見ればいい。シナリオが一本道のコンピューターRPGをすればいい。
一つの物語に対し、それぞれが介入し、それぞれの物語を描くことが出来る。さらに言うならそれを皆で共有する。
それがTRPGの魅力だと思うのだ*3。
なので、
「俺は物語を提供した。この結末は決まっていない。なぜならば、それを作り出すのはキミ達だ」
と言うGMさんは凄い素敵に思える。
「よーし。ならば俺はそのGMの心意気に応えてやるぜ」
と息巻いて遊べる。
えてして、そう言う時が、一番ゲームが面白かったりする。
ちなみに、自分がGMをしているときも*4
「良い意味でGMを裏切ってくれる」PLさんはかなり好感触かな。自分の予想しなかった方向からシナリオにアプローチを掛け、それが上手く回ると判った瞬間。例えそれが半月掛けて苦心して生み出したシナリオだとしても、その瞬間に破棄する。面白い展開ならば自分自身に固執する理由なんてどこにもない。
ちなみに次点が「GMの意図を掴み、それに添った動きをしてくれる」PLさん。そう言うサポーターの人が居るからこそ、周りが盛りあがれるし、安心して遊べる。
以下、何もしないPLさんと、悪い意味でGM(ひいては、周囲も)を裏切るPLさんと続いていく。
結局のところ、自分はGMをする際、自分自身をただの物語提供者としてしか考えていない。それ以上の面白い物語、美しい物語に出会いさえすれば、簡単にシナリオを翻すことに忌避感なんて存在しないのだ。
10年間のTRPG経験なので、それ以上の経験者の人から見ればひよっこ程度にしか思えないかも知れないが、それでも、その10年の厚みは、ちょこっとシナリオから外れたとしても揺るぐようなものじゃない。アドリブで乗り切る覚悟はある*5。
いや、身内以外でTRPGを始めだした4、5年前は思いっきり簡単に揺るぎましたけどね(笑)。
少しは盤石になったのかな?*6
面白い物語が見たい。
自分の想定なんかより遥か先を行った素敵な人々の動きを見たい*7。
それが、今の自分の希望だ。
まぁ、なのであれだ。
このソングシーカーは最近読んだリプレイの脳内ランキングでは上位にランクインすることにしたのだ。
今日はそんなお話。
*1:現在、芝村舞を出すために石津萌で神話を実施中
*2:ま、これは本文中にも書かれていることなのですが
*3:王道を突っ走るのが悪だとは言わない。その方法で考えを共有できるのならばそれは一つの手腕だと思う。とりあえず、邪道/外道を推奨する意図はないです
*4:まぁ、何度も繰り返している事ではあるのだけど
*5:でも、信頼のおける人がPL立った場合、「いや、キミ達の動きが素晴らしくて、シナリオの想定外に物語が発展しちゃったよ」とぶっちゃけて「だから、これからはアドリブ」と言い切るのだけど。
*6:でも、某人をPLに向かえると何故かトチる罠。……いや、その人を尊敬しているからだと思いますよ
*7:ここで追伸。『登場人物には役割が決められ、物語の終わりは決められている。誰が、なにを、どのようにやっても変わることはない。ときどき、面白く、笑える演技をして貰えれば満足だ』 ソングシーカーの中にあったあるNPCの台詞ですが。それがTRPGのPLの役割であると満足できますか? 少なくとも僕はそんな一本道のシナリオのPLで面白いとは思えないのですよ